当社は、2023年度から2025年度までの3年間にわたって取り組む新中期経営計画を策定いたしました。

1.計画期間

2023年4月1日 ~ 2026年3月31日 (3年間)

2.計画の概要

当社は、前中期経営計画(2020年4月1日~2023年3月31日)を「100年企業」として存続していくために必要となる安定的な礎を一層強化する「改革の期間」と位置付け、収益力の強化に取り組んでまいりました。

具体的には、不採算・低採算を余儀なくされていた業務の採算改善・縮小・撤退に取り組む一方で、デジタル基盤ビジネス拡大に向けた体制強化と情報セキュリティビジネスへの本格参入を図るなどの事業ポートフォリオの再構築に加え、処遇改善や健康経営の推進による社員の意識改革などを推し進めたことにより、計数計画及び経営指標、経営目標は概ね達成または向上させることができました。

今回策定いたしました新中期経営計画(以下、「本計画」という。)は、前中期経営計画で築いてきた礎をもとに、「情報セキュリティが確保され続けることを前提とした上で、収益力の大幅な飛躍とその利益を源泉とした投資サイクルの確立によりサステナブルな成長を目指す」ことを基本方針とし、次の5項目について重点的に取り組んでまいります。

なお、本計画は別途公表しております「サステナビリティ基本方針」を踏まえて策定しております。

(1) 情報セキュリティの強化

情報セキュリティの強化は、当社事業の根幹を支え、本計画で掲げる諸施策の実施に欠かせない最も重要な取り組みと考えております。ゼロトラスト(※1)を前提とした情報セキュリティレベル強化に向けたインフラ・環境整備のほか、徹底した社員教育など情報セキュリティ強化に向けた投資活動を継続的に実施してまいります。

  1. 「ゼロトラスト」とは、クラウドサービスの普及やテレワークの拡大等によりネットワークの社内・社外の境界があいまいとなる中、社内・社外にとらわれることなく情報資産にアクセスするものは全て信用せずに確認し、認証・許可を行うことにより情報資産を守る考え方です。

(2) 原点回帰、収益基盤の維持・強化

創業から50年以上にわたり築き上げてきた安定的な収益基盤の維持・強化のため、引き続き社内外のリソース確保と品質管理の強化に取り組んでまいります。また、不採算・低採算を余儀なくされている業務の採算改善・縮小・撤退を引き続き適宜実施することにより、より一層の収益基盤の安定化と強化を進めます。

(3) 創造的分野や自社製品・技術による事業拡大

2022年10月に新設した「デジタル基盤事業部」を起点とし、デジタル基盤ビジネスの飛躍的拡大を図るとともに、情報セキュリティビジネスの安定的な拡大を推し進めていきます。加えて、自社ソリューションの強化・拡充や新技術の習得など、新たな事業領域の拡大を図ります。一方で、デジタル基盤ビジネスにおける品質管理手法の確立や、自社製品の開発標準プラットフォームを構築するなど、新たな事業領域においてもビジネス拡大の礎となる情報セキュリティや品質の確保に注力いたします。

(4) 人(社員等)への投資の強化

当企業集団の事業活動の源泉である人材への投資を強化してまいります。さらなる処遇の改善を図るとともに、健康経営、ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランスの推進を一層強化し、社員が心身ともに健康で働きがいをもって活躍できる職場環境づくりに一層注力いたします。また、教育・研修等の充実を図り、社員のキャリア形成に向けた意識改革や環境整備を進めてまいります。

(5) 社内インフラ投資の強化

社内ネットワークの無線化・高速化を進めるとともに、システム投資により社内業務の電子化・ペーパーレス化を推進し、生産性の向上とともに、一層の情報セキュリティ対策の強化を図ってまいります。さらに、執務環境の整備・見直し等による業務の効率化にも取り組んでまいります。

3.事業ポートフォリオに関する基本方針

本計画の基本方針にもとづき、事業ポートフォリオに関する基本方針を以下のとおりといたします。

『情報セキュリティが確保され続けることを前提とし、不採算・低採算分野の縮小・撤退を進めつつ、強みとする分野の収益基盤の維持・強化を図るとともに、デジタル基盤ビジネス等創造的分野や自社製品・技術に依拠した事業領域の拡大を進める』

4.計数計画

「2.計画の概要」に記載のとおり、収益力の大幅な飛躍を図る一方で、その利益を源泉とした投資サイクルの確立によりサステナブルな成長を目指す計画としていることから、最終年度である2025年度において、2022年度比売上高は増加となるものの、利益は微減の計画としております。なお、計画期間の3ヵ年においては、売上高・利益ともに着実に成長する計数計画としております。

具体的には、初年度である2023年度は、売上高は2022年度の大口案件の減少が見込まれることにより減収の計画としております。損益面でも減収影響に加え、情報セキュリティ強化を含めた社内インフラ整備や処遇改善・教育研修などに係る費用増加を見込むことから減益の計画としており、減収減益のスタートとなりますが、2年目の2024年度以降は本計画の基本方針にもとづき増収増益の計画といたしました。

(単位:百万円)

2022年度

(2023年3月期)

2023年度

(2024年3月期)

2025年度

(2026年3月期)

2022年度実績対比

当初中計

実績

計画

計画

増減

増減率

売上高

24,000

23,588

23,100

24,200

+611

2.6%

営業利益

740

993

820

920

△73

△7.4%

営業利益率

3.1%

4.2%

3.5%

3.8%

△0.4%

経常利益

800

1,038

900

1,000

△38

△3.7%

親会社株主に帰属する

当期純利益

540

748

620

690

△58

△7.9%

5.経営指標及び経営目標

本計画の推進にあたり、到達点を明確にするために経営指標及び経営目標を設定しております。

経営指標としては、引き続き、株主価値及び資本効率重視の観点から「ROE(自己資本利益率)」及び安定配当の基本方針を堅持しつつ株主の皆さまへの還元方針の目安となる「配当性向」を重視いたします。

経営目標としては、当社事業の根幹を支える情報セキュリティの強化に加え、女性活躍の推進や社員満足度の向上を掲げ、サステナブルな成長を目指してまいります。

これらの経営指標及び経営目標の進捗管理を通じて、本計画の達成を目指してまいります。

項 目

計画終了時点の目標

備 考

経営指標

① ROE(自己資本利益率)

3.5%~4.0%

70%以上の自己資本比率を堅持することにより健全な財務体質を維持しつつ、資本効率の安定的な改善を目指します。

② 配当性向

30 ~ 40%を

目安とした安定配当

安定配当方針を堅持しつつ、市場平均水準を意識してまいります。

経営目標

① 情報セキュリティ及びサイバーセキュリティインシデント発生件数

0件

対策の実効性を高めることで、インシデント0件を目指してまいります。

② 連結売上高セキュリティ投資比率

0.5%以上

「(一社)日本サイバーセキュリティ・イノベーション委員会」が推奨する「0.5%以上」を目安とし、継続的な投資を行ってまいります。

③ 部長級に占める女性の割合

10%以上

「女性活躍推進法」における行動計画目標として掲げている目標値であります。

④ 社員向け職場アンケートにおける社員満足度の向上

社員満足度の向上により社内活性化を図ってまいります。